スタッフエッセイ 2005年2月春一番原田光恵 今日、「大阪で春一番がふきました」と聞いた。 15年前の「春一番」、初めて子どもと二人で電車に乗って外出した。 子どもは11月生まれ。育児書に書いてある「日光浴を始めましょう」の時期、私たち親子にとっては冬真っ只中だった。育児書をじっと眺めながら、「こんな寒いのに外になんか行かれへん・・」お日さんの出ていない窓の外を恨めしく思えたあのころ。「これってウソやん」親子で嬉しそうに日光浴をしているイラストがますます恨めしく、ぜんぜん楽しく映らなかった。何もかもが初めてのことだらけ、何がなんだかわからない「子育て」は日々押し寄せてきた。なのに、身近にいろいろと聞ける人がいなかった。話せる人がいなかった。子どもと二人きりで、ほとんどの日々家の中で悶々とした生活を送っていた。 そんなときに、おひなさまの季節がやってきた。初節句に買ってくれたお雛さんが母の家においてあったので、「お雛さんを見に行きたいな」と思った。でも子どもと外出することは、ものすごい冒険のように思えた。「ママコートを持っていないから、まだ寒いし出られないな」と変な理由までつけて、なかなか「外出しよう」という気持ちになれなかった。 ある日、「ママコ−トじゃなくてもいいや」とやっと思えて、大きなジャンバーに子どもを包み込んで、ファスナーを閉めて出かけることにした。でも、その日はとても風がきつく、「大丈夫かな」と歩きながらまた心配になった。けど、なんとなく風が暖かかった。 無事、母の家に着いてお雛さんを見たときは、とってもうれしかった。そして、その日のニュースで「今日、春一番がふきました」を聞いた。 あのときの「春一番」は、しんどかった私の背中を押してくれた気がする。ふいていた風を思い出すたび、今でも心地よい気持ちになれる。 毎年聞く「春一番」。今年久々に、えいっと背中を押してもらった気がした。そして、そのとき感じる心地よさ、やっぱり気持ちがよかった。 さて来年は、どんな「春一番」が吹くのか、一年後のお楽しみかな・・。 (2005年2月) |
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